六号雑感
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根が暗いので、ほんのりと翳のある音楽を好んでいます。
近年はポップで明るく、かわいらしい曲も随分と聴くようになりましたが、気を抜くと休日なぞに日がな一日ベッドのなかで、Syd Barrett の The Madcap Laughs あたりを聴きつづけてしまいます。
(『帽子が笑う…不気味に』という邦題で知られる傑作であり、ジャケットも素晴らしくかっこよいのですが、いかんせんゆるくて不健康なアルバムです。)
なかでも最近、自室にいるときの八割くらいかけっぱなしにしているのは Joy Division です。
ライブアルバムを二つ入手し、それらをとても気に入ったのです。
スタジオで録られたアルバムよりもずっと激しく、曲同士のつながりもよく、通して聴きたくなってしまいます。
もともとはいくつかの特定の曲のみ好きだったのですが、どの曲もみな好きになってきました。
そのうえで ”Love Will Tear Us Apart” の凄さを再認識しました。
この曲はやはりスタジオ録音した音源が完璧です。
メロディもビートも歌詞も、いずれもとてもシンプルな曲です。しかしながら非常な力強さがあります。
とくに歌詞には惹かれます。単純な語と句が並んでいるだけにもおもえるのですが、鬱々とした気分が過不足なく簡潔に記されています。
Ian Curtis という、パンクを出自としながら公務員であり文学青年であった異質の存在の魅力がこの歌詞には凝縮されているようです。
ロック史上最高のシングル、などと評されることもありますが、B面の ”These Days” も加味すればまんざら過大評価でもないようにおもいます。
暗い部屋で聴くには最適の曲です。