砂 三篇
*
この風景がひと粒ひと粒の砂から成るのは嘘だと云う。
手を傾けると砂が零れる。
砂は掬えても砂漠は掬えないと云う。
*
並木道の匂いのする手套を編んでいた十二歳の夏。
いっぽんの毛糸の可塑性は砂。
*
湖の水を汲んで足を浸しても鰭には戻らない。
海を埋めるために砂漠を掬うことを夢にみる掌。
新雪を踏んで小径を深く進む。
詩 カテゴリーの記事一覧 - 〈棄想天蓋〉:文芸とポップカルチャーを中心に
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この風景がひと粒ひと粒の砂から成るのは嘘だと云う。
手を傾けると砂が零れる。
砂は掬えても砂漠は掬えないと云う。
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並木道の匂いのする手套を編んでいた十二歳の夏。
いっぽんの毛糸の可塑性は砂。
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湖の水を汲んで足を浸しても鰭には戻らない。
海を埋めるために砂漠を掬うことを夢にみる掌。
新雪を踏んで小径を深く進む。
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