北園克衛、聡明な水晶の脳髄またはフラスコの中の湖
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意味によつてあまりにも混乱した詩は、すべての葉を失ふかはりに、無作法な雀らの群集する一本の木を思はせる。
*文学に於て、書かれた部分は単に文学に過ぎない。書かれない部分のみが初めてポエジイと呼ばれる。フロオベルが詩人であったのは、フロオベルが書いた文学に比較して、彼がいかに多くのポエジイを彼自身に持つてゐたかを意味するに外ならない。
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意味のない詩を書くことによつて、ポエジイの純粋は実験される。詩に意味を見ること、それは詩に文学のみを見ることにすぎない。
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竹中郁、リリカルなモダニスト
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一つ前の記事のなかで『詩と詩論』に言及したところ懐かしさを覚え、久しぶりに何冊か開いてみようとおもい立ちました。
読み進むうちに線を引いた箇所などにあたり、かつて考えたであろうことを朧げに憶い出しました。
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六号雑感
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根が暗いので、ほんのりと翳のある音楽を好んでいます。
近年はポップで明るく、かわいらしい曲も随分と聴くようになりましたが、気を抜くと休日なぞに日がな一日ベッドのなかで、Syd Barrett の The Madcap Laughs あたりを聴きつづけてしまいます。
(『帽子が笑う…不気味に』という邦題で知られる傑作であり、ジャケットも素晴らしくかっこよいのですが、いかんせんゆるくて不健康なアルバムです。)
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