〈棄想天蓋〉:文芸とポップカルチャーを中心に

トマトです。学位は品種(文学)です。無名でも有名でもないちょうどよい塩梅の文芸作品をとりあげて雑感を綴ることが多いです。レコードが好きです。

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

理外の理、マジックリアリズムのような:『今昔物語集』

* ラテンアメリカ文学が好きなので月に一冊くらいはそうした本を読みます。 新しい本にも手を伸ばしますが、コルタサルなどをぱらぱらと再読することが多いです。 世にラテンアメリカ文学の愛好者は多く、現実やネット上で頻繁に出会うのですが、意外と日本…

「良い夜を持っている」

* 不思議な縁で、中学、高校、大学と教えることになった学生がひとりいます。 中高ではそれぞれ半年ばかり塾で担当し、大学では初年次の基礎演習で担当しました。 わたしのいる大学の同じ学部学科に入学し、さらに十クラスほどあるなかピンポイントでわたし…

未来としての日本の起源:B・スターリング「江戸の花」(1986)

* かつて、SFはよく日本を舞台としました。 いまでもそうした作品はなきにしもあらずですが、サイバーパンクの時代であった80年代には日本こそが未来であるとして、あるいは未来とは日本であるとして、日本的なものや日本そのものを描くことが定番化しまし…