〈棄想天蓋〉:文芸とポップカルチャーを中心に

トマトです。学位は品種(文学)です。無名でも有名でもないちょうどよい塩梅の文芸作品をとりあげて雑感を綴ることが多いです。レコードが好きです。

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ポップカルチャーとサブカルチャーのあわいに

サブカルチャーという言葉を使うとき、どうしても違和感を感じてしまう人は多いのではないだろうか。サブというからにはメインカルチャーがあるはずだ。でもそんなものどこにあるのか。確固として揺るがないメインカルチャーなんて、かつてはあったのかもし…

吉岡美佐子に寄せる

* 先日の詩「告別」についての記事にすこしだけ補足をしようとおもいます。 宮澤賢治にはもう一つ、農学校の教え子を念頭に置いて書かれた詩があります。「生徒諸君に寄せる」という断片的なメモのようなものです。 この四ヶ年が わたくしにどんなに楽しか…

六号雑感

* blogをはじめて一週間とすこし、twitterをはじめて二週間とすこしが経ちました。 この間に四つの記事を書いてみたのですが、その四つ目がおもいもかけずにたくさんの方に読んでいただくところとなり、大変に驚きました。

高橋さおりへ吉岡美佐子から / 沢里武治へ宮澤賢治から

おまへのバスの三連音が どんなぐあいに鳴ってゐたかを おそらくおまへはわかってゐまい その純朴さ希みに充ちたたのしさは ほとんどおれを草葉のやうに顫はせた もしもおまへがそれらの音の特性や 立派な無数の順列を はっきり知って自由にいつでも使へるな…

「相対性理論」から連想されるもの

* 映画『幕が上がる』のキーワードの一つとして〈相対性理論〉を挙げることができます。 劇中では志賀廣太郎演じる現国教師が、「相対性理論」といえば最近ではバンドの名前、といった発言をするシーンがありました。 「相対性理論」といえば「やくしまるえ…

続・未完であること

〈青春ガールズムービー〉のほとんどが〈晴れ舞台でのパフォーマンス〉をクライマックスシーンとしているにもかかわらず、『幕が上がる』はそのパフォーマンスの直前で終幕してしまいます。 別言すれば、舞台の幕が上がるとともに映画の幕が下りてしまいます…

未完であること:〈青春ガールズムービー〉としての『幕が上がる』

* 二年前に『ももクロの美学』を著した安西信一先生がご存命であったら、いま現在のももいろクローバーZについて何を考え、何を書くのだろうかと、ふとおもいました。 その本のなかでももクロと比較されて中心的に論じられた〈青春ガールズムービー〉にも…