語りの彼方にあるオモチロサへ:森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(2006)
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専門が近代だということもあって最近の小説はあまり読みません。
SFが好きなのでそうしたものを趣味的に読むか、必要に迫られて勉強のために読むかくらいです。
後者の一つとして数年前に森見登美彦の作品をまとめて読みました。
一作目の『太陽の塔』で好きになってしまいました。
森見登美彦の作品は語りの構造がおもしろいとおもいます。
独特な語りそのもの、すなわち文体もさることながら、語り手がその物語を何のために語っている/書いているのかに意識的な作家です。
そして森見の作品の多くは、そうした語りの目的について考えることで、作中ではっきりと文章化されていない情報を引き出すことが可能であるようにおもわれます。
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すこしふしぎ:中井紀夫「見果てぬ風」(1987)
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おそらく一年ほど前から、書店で筒井康隆『旅のラゴス』を頻りと目にするように感じていました。
壁面でピックアップされていたり平積みにされていたり、なぜか目立つ場所に置かれていることが多く、ときにはポップまで付されており、何事であろうか、改版でもしたのかと訝しんでいました。
そんななか、すこし前に、筒井が出演したBSの番組でちょうどこの現象が話題となりました。
『ラゴス』をジブリが映画化するという噂が立ったようだ、など二三の理由を挙げていましたが、どうやら著者本人にもはっきりとは分かっていない様子でした。
(脇道に逸れますが、仮にアニメ化が実現するとしたらジブリ本家ではなく新海誠あたりが『星を追う子ども』みたようなテイストでやりそうだなあ、なんておもったりしました。)
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境界としての〈へり〉:天沢退二郎『光車よ、まわれ!』(1973)
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昨年であったか一昨年であったか、すこし前のことになりますが『電脳コイル』を視聴しました。
2007年にNHKで放送され、日本SF大賞を取ったことでも話題となったアニメです。評判のよさは知りつつもタイミングを逃してしまったことと絵柄の印象で未見でいました。しかしながら観てびっくり、とてもおもしろかったです。イヌを飼っているので感情移入してしまう展開もありました。
このアニメを視聴してすぐにおもったことが二つありました。一つがリアルタイムで追っかけておけばよかったぞということ、一つが天沢退二郎『光車よ、まわれ!』っぽいぞということでした。
ネットで検索したところ制作陣もこの作品からの影響を公言しているらしく、そうした指摘はすでにたくさんあるようです。
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